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3.★青色のストラップ★ 1

2008年6月22日 (日)

(6/22)【青色のストラップ】 1.2

「え……

「もしかしたら、また何か起こるかもしれない……

珠洲は気難しそうな表情をしながら言った。

   

 
東大路小学校は、始業のおよそ十五分程前、大半の児童達が登校して来る時間帯を迎えていた。珠洲も自分の席まで辿り着き、机の上に背負っていた赤いランドセルを降ろした。

「おはよおー」

珠洲の級友、宝塚耐が彼女に挨拶をしてきた。耐の髪は黒のセミロングで、ピンクと赤の大きなリボンを付けた白のローブを着用していた。

「あ、おはよ……

……今気付いたんだけど、珠洲ちゃんのそれ……

「え……?」

 耐は間髪を入れずに珠洲のランドセルについていたオレンジ色のお守りを指して言った。

「美濃くんも同じようなのを付けてたような……

…………、うん……

……どこか、行ってきたの?」

「え……  うん、上賀茂……

 珠洲はお守りを手に取ると、穏やかな笑みを浮かべながら答えた。このお守りは珠洲と美濃が上賀茂神社に参拝したときに買ったもので、美濃も同じ青色のお守りを自分のランドセルに付けていた。

「えっ……!?  また火事があったの……?」

 その直後に前の方の席から大きな声がした。珠洲が驚いて振り返えると、そこで三人程の男子と女子が会話をしていた。

……うん……熊野の方、うちの近所なんだけど……

 そのうちの一人、安場千枝が椅子に座りながら答えた。

……なんか、最近多いよね、一昨日も今熊野の方であったし……

 彼女の隣の席の机に腰掛けていた別の少年がそれに続いた。

珠洲はきょとんとした顔をしながら彼女たちの話を聞いていた。丁度そのとき、珠洲の携帯電話のバイブレーターが数度作動した。

……?」

耐は不思議そうな顔をした。珠洲はスカートのポケットから携帯を取り出して画面を開けた。

「え……



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【青色のストラップ】 1.01

 黄昏時から京都市内の空は急に曇り出し、またやや強い風が吹き始めており、京都でも一際小規模の寺院の部類に入る宝心寺の境内は普段以上に不気味な雰囲気を醸していた。

 その本堂に隣接している土蔵は書庫として利用されていた。内部の一角には書棚に混じって小型の箪笥が置かれており、またその上には一冊の古書が置かれていたが、程無くしてそれは漆黒の光を放ち始めた。

 やがてその光は煙のように立ち昇り、そして土蔵の屋根を突き抜けて空中に拡散していった。

「ん……?」

 その数分後に、市内のとある真新しい古本屋から出てきた一人の青年が空を見上げて小さな声を漏らした。先程の光は既に京都の空のほぼ全域を覆っていた。とりわけ、鴨川の上流にある上賀茂神社周辺と、高野川の上流にある祟導神社周辺の上空にそれは強く集まっていた。

 それからさらに若干の時間が過ぎたとき、宝心寺の土蔵にあった例の古書が今度は白色の光を放ち始めた。その光は古書を包み込み、そして古書ごと消滅した。続いて、市内の夜空を覆っていた黒色の光もやがて消えた。 

 その後、程無くして市内の南東の方向から火の手が上がった。

   *

翌朝の京都市内はよく晴れていた。「えっ……?」

突然、一陣の風が、通学中の一人の少女の傍らを吹き抜けて行った。彼女の名前は朝霧珠洲、東大路小学校四年一組の児童で、白のTシャツに、マンダリンオレンジのジャケット、下は深紅色のミニスカートを履いていた。また髪は黒のショートヘアーで、ヘアピンで耳を覆っていた髪を耳の後ろで留めていた。

「畏み、畏み……」

続いて、彼女の脳裏に、自然と闇の中に佇む朱塗りの大鳥居が浮かび上がるとともに、若い男性の声が自分に呼び掛けているかのように響いた。

「珠洲ちゃん……、珠洲ちゃん……?」

「え…………

たまたま傍を通りかかった珠洲のクラスメートの男子、茨木美濃が彼女の異変に気付いて声を掛けた。彼は珠洲と殆ど変わらない髪型に、深緑の長袖のTシャツを着て、下は紺色の短パンを履いていた。珠洲の脳裏に拡がっていたイメージと響いていた声は消えた。

……どうしたの……?」

美濃が不安そうに尋ねた。

「うん………………また誰かの声が聴こえて……




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